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ストーンズの……。

 ローリング・ストーンズが新作をリリースした。このレコードについて(当然)色々と考える事があるので、書いてみようと思う、が、おそらくかなり個人的というか、マニアックな内容でストーンズを良く知らない人には理解できないようなものになってしまうかもしれないので、その場合は飛ばして下さい。あくまで個人的なメモ代わりに書いてみようと思う。

………と思って書き始めたのだが、とてもじゃないがボクのストーンズに感じる複雑で深い感情を書き切る事はできなかった。(トライしたのだけれど、とても長く、しかも我ながら納得できない文章になってしまっていた。ボクの文章力は、とても拙い……。)そこをどうにかしたいものなのだが、もうこれはMoostopことリヨジくんとコーヒーでも飲みながら語り合うしかない世界である……。しかし、ここで終わるのも何なので、ちょっと書いてみる。

 今回のレコードはとてもカッコ良い。どこかハツラツとした所があって、シンプルで。多くのストーンズファンが"Dirty Work"以来の出来、と賞するのも良くわかる。ボクとしてもそれに反対ではない。(とはいえ、ボクにとってストーンズのアルバムは比較できるものではないので、前作よりも良い、というよりも、良いが1個増えただけなのだ)だがその一方で何故か違和感のあるレコードだな、とも感じている。その違和感はおそらく今までのレコードとは(全く)違って、ほとんどミック、キース&チャーリーのオリジナルメンバー3人だけで作られたものだからだと思う。非常に親密で、いたわり合う3人のフィーリングが音になっているような気がする。もちろん悪いわけではない。しかしこれは3人のレコードで、ローリング・ストーンズとはちょっとだけ違う。説明するのは難しい。

 ストーンズをまったく批判するつもりはない。ここからはあくまでボクの個人的な希望を述べるのだ。
 この新作を作ったプロセスは60年代に彼等がやっていたものと似た共同作業だったのかもしれない。簡単に色々な事を素晴らしくこなしてくれるゲストを呼ばず、自分達でできるだけやってみよう、と。(だからボクはこのアルバムと66年の"Aftermath"に似た雰囲気を感じるし、もしくは"Miss You"と"Beast Of Burden"を抜いた"Some Girls"みたいな感じもする。)ところが、残念な事にもうオリジナルメンバーは3人しかいないのである。それでストーンズの曲の持つ『シンプルだけども複雑で、分かりやすいが難解で真似する事のできない』アレンジに行き着くことができなかったのだろう。バンドのマジックに欠けてるのである。("Some Girls"と比較すると良くわかる。あれはスゴい。)だから、まったく無理を承知で書くのだが、ビル・ワイマンの不在がここでも、実に、惜しい、と言ってしまいたいのだが、しょうがないので………ウーン、どうしよう?
 でも不思議な話だと思わないかい?レコードは、もちろん、どのように作る事もできる。アレンジはいくらでも複雑にしていけるし、完成度も高めるだけ高められる。もちろんそれを1人ででもやる事が可能だ。ミックはソロ活動でそれを学んだのだろう。だから時間をかけず、しかしピュアなストーンズを打ち出す事をプランしたに違いない。(今回のミックのガンバリは、ある意味度を超している。なんたってベースばかりかスライドギターまで演奏しているんだもんね。もちろん彼はギタリストでも、ベースプレイヤーでもない。)しかし、結局それは人間が時間をかけて作る、関係性を持ったアレンジとは、やはり違うものなのだ。いくらアレンジしても3人で作ったレコードは3人の音楽になり、5人で作れば5人の音楽になろう。そしてストーンズは(大体において)5〜6人の音楽なのだ。少なくとも4人、か。ウム。

………ウーン、何を論じているのか分からなくなってきてしまった。とにかくボクの感じた、これが『ローリング・ストーンズ』の新作です、という部分に対するかなり些細な違和感を書いたまでです。でも、何と言おうとこのレコードは素晴らしいレコードだし、実際ボクも1日に3回以上は聴いてしまう。歌詞を見ながら一緒に歌ったり、曲を憶えようと必死であったりする。Little Mも好んでいる(と思う)。どの曲も良いが、本当にノックダウンさせられるのは"Infamy"というアルバム最後のキースのトラックだ。あれは凄い。あれだけはまったく新しいものだと感じた。キースはいつも本当にすごい。(ただし、あの曲をミックと本格的にコラボレートして歌わせてたら、どうだったろう?もっと凄いものになっていたかもしれない。"Shatterd"とかあんなレベルになっていたかも………。それができないのが「今」のストーンズの残念な所である……、いや、良いんですけどね)

 ボクは86年以来の彼等のファンだけど、もう20年も新作を心待ちにできているなんて本当に信じられない事だ。心待ちにして20年過ごしている間にボク自身も地方のシャイな高校生からミュージシャンの端くれになってしまっていた。これはなんと言ってもストーンズがボクに起こした化学変化なのだ。本当に感謝している。そんな心から敬服できる存在がいる事は、なんて幸せなんだろう。また明日を生きようと思う。ストーンズががんばってるのに、オレ達がやらないなんて法はないんだよな、まったく。

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